ロープアクセスで大規模改修

大手ゼネコンさんから質問を受けました。
ロープアクセスでマンションの大規模改修改修で
無足場工法と名乗るロープアクセスの業者が25%位も安かったけど、どうなの? と・・・

まぁ仮に6,000万円の工事費としますと1,500万円も足場組んでする一般的な工法より安いって事です。
足場を必要とする外壁に、手を入れる部位が僅かだったらあり得ますが
それなら大規模改修をするまでも無かったでしょうし・・・

そうですねェ、真面に考えれば何かが犠牲になっています。


私はロープアクセスを業務としている人間ではありますが
環境的な特別の事情があれば別として、マンション等の大規模改修にロープアクセスは採用するべきではありません。

まず法令順守の観点から
厚労省令の『ロープ高所作業の定義』に作業床を設ける事が困難なところにおいてとあります。
短時間の調査や補修程度の作業に、ロープ高所作業(ロープアクセス)を採用するのは問題ないのですが
大規模改修には、何か特別な理由が無い限りコンプライアンス面においてロープアクセスはまず採用されません。

品質のとコスト
最近では、環境や防犯の面でゴンドラを採用する大規模改修工事も多くありますが
普通は仮設費だけの理由では無くて、作業能率が下がるため3割(場合によります)程度割高となります。
それで、ロープアクセスだと決して作業性が良くなる訳ではありません。
足場上での作業に比べて能率の劣る作業ですから、品質の基準をクリアするには労務費はそれなりに掛かります。

ロープアクセスと言う作業手段は、バリューエンジニアリングに繋がるところはあります。
でも、ローコストの為の作業手段ではありません。
国内法でも、国際基準においても、まず作業床を設ける事が大前提です。
正直言ってコスト的な面で電卓を叩いて、ロープアクセスを使うってのもチョビっとは有りますけどね
チョコっとの仕事に大掛かりな足場を組んでもリスクは増えるし
ゴンドラや高所作業車も、ちょっと難しいなと言った時にロープアクセスの検討をすれは良いんです。


現場で苦労をして来た方達なら解ると思います。
表面的な体裁を整えるだけなら誰でも出来るんです。
10年 20年 30年 と色々な建物と付き合って来て思い知らされる事、たくさんあります。